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【日暮里・和洋菓子 EDO USAGI】笑顔を呼ぶ妖怪大福。「おいしい」だけじゃない、もうひとつの価値

Apr 21, 2026 ai IDOPRESS

妖怪大福は、購入することも、イートインで食べることもできる。いちご大福は390円(店内397円)。その他は種類によって340円(店内346円)~。

日暮里駅東側の静かな一角にある、和洋菓子 EDO USAGI。明るい店内に入ると、左手のカウンターに愛嬌ある妖怪大福が並んで、「ボクがいちばんおいしいよ」と競っているよう。このかわいらしい妖怪たちが、どうして現代に生まれてきたのか、その秘密を探ってきた。

かわいすぎて食べられない、なんて言ってられない

さて、困った。どこから食べよう……。

左右に離れたつぶらな目、パカッと開いた口に真っ赤なイチゴ。


かわいすぎる!

思い切って、左頬からガブッとかじると、なめらかなお餅の中から、抑えた甘味のこし餡が現れ、続いてみずみずしく酸味の利いたイチゴの果汁があふれ出て、口の中で渾然一体。食感も味もいろいろなのだが、バランスが絶妙なのだろうか、噛むごとにほどよく混ざって、次の一口が食べたくなる。

世の中に「いちご大福」が出てきたのは、30~40年前だろうか。大福のような姿をしながら、食べてみると中にイチゴが隠れているのは斬新だったが、なんと今度はイチゴを表に出して、しかもかわいい顔にしてしまうとは。

いったい、誰のアイデアだったのだろう。

社員が考えた形やキャラクター設定

和洋菓子 EDO USAGIを担当する、大藤社員の森田麻友さん。「お店では、持ち帰りもイートインもOKです。イートインだけのメニューもあるので、まちあるきの途中で寛いでください」。

和洋菓子EDO USAGIの森田麻友さんに、疑問をぶつけると、「妖怪大福は、いちご大福が得意な和菓子職人と、社員のアイデアで生まれたんです。和菓子を身近なお菓子として感じてほしいというところからの発想で、コンセプトは『谷中の墓地からやってきた、食いしん坊な妖怪』です。2012年の1月から販売を始めています」とのこと。


「作る上でいちばん難しいのは、最後に黒胡麻で付ける目の位置です。あまり離れるとちょっととぼけた顔になってしまって、かわいい妖怪に見えるバランスが難しくて……。イチゴも、大きさや形など同じようなものを納入してもらえるよう、地域のフルーツ屋さんにお願いしていますが、ひとつひとつのイチゴの型が違うので、この子たちの表情もみんな違います。顔を見て、選んで買っていく方も多いですよ」

店内には、妖怪大福や季節の和菓子の妖怪たち。本物に見えるが、これは食品サンプル。お菓子の妖怪大福の箱に1個だけサンプルを忍ばせて手土産にする、いたずら心のある人も。

多い日だと、イチゴの妖怪大福だけで300個も作ることがあるという。

イチゴからスタートした妖怪大福だが、その後次々と果物のバリエーションが増えていった。年中あるのは、イチゴとアンズ。その他、ブドウ、キウイ、シナモンアップルなどの果物に、さくら餅や柏餅、水大福なども妖怪。いつでもその季節の妖怪に出合える。

顔立ちにばかりに目が行ってしまうが、大福の生地にはコラーゲンが練り込まれていたり、白餡には練乳を忍ばせていたり、見えないところにも工夫が凝らされている。

森田さんが妖怪大福を「この子たち」と呼ぶところにも愛情が感じられるのは、社員の発想から生まれ、みんなで育ててきたという思いがあるからなのかもしれない。

お菓子に食べる楽しさをプラス

イートインのみのフルーツたっぷりのあんみつには、水大福の妖怪がちょこん。黒蜜、緑茶、紅茶の密が選べるあんみつは730円。お茶は、茶釜で沸かしたお湯で淹れてくれる。つゆひかり(緑茶)、ひぐらしほうじ茶、かごしま紅茶各220円(店内224円)。

そんな社員がいる会社というのは、昭和29年(1954)からお土産菓子の開発や卸しを行っている、株式会社大藤(だいとう)だ。全国のお土産菓子を手がけているので、きっとどこかで商品と遭遇しているはずだ。総理大臣が交代するといつも話題になる総理大臣のキャラクター菓子も、ここの商品。小泉純一郎元総理の『ガンバレ純ちゃんの好景気まんじゅう』を、平成13年(2001)に発売したのが最初だ。

基本的には、いわば黒衣(くろご)としてお菓子作りに関わっていた大藤だが、食べる人の声を直接聞ける場をもちたいと、平成17年(2005)に実店舗の「江戸うさぎ」を開店した。その時点では和菓子に特化していて、店の造りもいわゆる和菓子店の趣だった。小ぶりの黒糖まんじゅうの、「10円まんじゅう」が人気を博したという。

フィナンシェや、和・洋の特性を生かした生しゅうもちあんも、大福と同じ職人が手がける。フィナンシェは、焼きたて包装なしが210円(店内214円)、ギフト用包装ありが250円(店内255円)。生しゅうもちあんプレーンは、300円(店内306円)。

お土産菓子を開発して感じたのは、お菓子のおいしさはそれぞれにたくさんあるので、そこに「食べる楽しさ」をプラスしたい、ということだった。そこにピッタリはまったのが、妖怪大福だったのだろう。

「お母さんから『あんこが苦手だった子が、妖怪大福でおいしさを覚えました』などという声を聞くと、うれしいですね」

令和4年(2022)には店舗を全面リニューアルして、販売だけでなく、イートインコーナーもできた。店名も「和洋菓子 EDO USAGI」とし、フィナンシェやクッキー、プリンなど、洋菓子にも商品の幅を広げた。

「イートイン限定のプリンやあんみつにも妖怪がのっていたりして、お子さんだけでなくみなさん笑顔になっていただいています。写真映えするので、インスタグラムなどを見て遠くから来た、という方もよくいらっしゃいます」

月1回は荒川区主催の『モノづくり体験スポット』として、初心者でも妖怪大福や練り切りづくりができる機会も設けている。“食べる楽しさ”、広がっているようだ。

地域や社会の課題を解決するお菓子を

和洋菓子 EDO USAGIから徒歩2分ほどにある「オイシイミライMARKET」。発売したての新商品や、観光土産菓子のアウトレット品が買える、地元の人を中心に人気の店。

ところで、妖怪大福のイチゴはその形や色で妖怪の顔立ちが決まってしまうだけに、仕入れたものすべてを製品にできるわけではない。使えなかったイチゴは冷凍ストックして、夏にメニューに入るかき氷のシロップにしたり、イチゴ餡に入れるピューレにしたりと、フードロスを出さない工夫には余念がない。

新型コロナウイルス蔓延期の令和2年(2020)には、大藤の社屋1階で、ワケあり商品の販売を始めた。ワケありと言っても、包装紙が少し傷ついているなど、中身に問題のないものが割安で買えるとあって、周辺の人たちを中心に喜ばれた。現在は「オイシイミライMARKET」と名付けられて、街に定着している。

「ステイホームの頃には旅行ができなかったので、『各地のお土産菓子で旅気分を楽しめた』という声もありました。近年では、協力工場の新商品の発売前テスト、いわゆるパイロット販売の場としても活用していて、消費者の声を直に得られる貴重な場ともなっています」

地方の生産地と関係が深いので、完熟で販売ルートにのせられない野菜をドレッシングにしたり、桜エビの旨みたっぷりのヒゲやシッポを海老せんべいにしたりといった、フードロスを削減しながら地域の商品開発をするようなことに、まだあまり世間の関心がない段階から取り組んでいる。それは、『食を通じて社会課題を解決する』という会社の理念の体現でもある。

和洋菓子 EDO USAGIは、最寄り駅が日暮里、住所が西日暮里。このあたりは、昔ながらの下町の商店などもありながら、住宅も多いところ。国内からも海外からも妖怪大福を求めて訪れる人がいる一方、「近所のお菓子屋さん」として気軽に来るご近所さんも。妖怪たちの圧倒的なかわいさは、街の魅力のひとつになっているようだ。

<今回の取材先>

すっきりモダンな和洋菓子 EDO USAGIのお店。左の窓からは、職人さんの作業も見られる。

和洋菓子 EDO USAGI

平成17年(2005)開業。JR山手線・京浜東北線、京成電鉄本戦、東京都交通局日暮里・舎人ライナー日暮里駅から徒歩4分。スタッフは、製造1人・販売5人。店頭の決済は現金のみ。ECサイトあり。

<データ>


住所 東京都荒川区西日暮里2-14-11


電話 03-3891-1432


営業時間 11:00~16:30


定休日 水・日曜


URLhttps://edousagi.com/

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