全国の小中高校などで起きた死亡事故が国に報告されていなかった問題で、文部科学省の有識者会議が27日開かれ、文科省が示した「学校事故対応に関する指針」の改定案を了承した。学校や教育委員会に報告の徹底を求める内容で、文科省は来年度、収集した事故データを活用した事故防止策の検討を始める。
現行の指針は2016年3月に定められ、改定は初めて。文科省は今年度内にも全国に通知する。
新指針では報告と調査の対象を、登下校中を含む「学校管理下」の全ての死亡事故と明示。意識不明や身体機能の喪失といった重傷事故も対象と示す。
指針に加え、学校設備の点検ポイントを示した「安全点検要領」を初めて作成する。文科省は今後、教育委員会や学校を対象に研修会を開き、指針と点検要領の周知を図る。
文科省の有識者会議は来年度、事故防止策の研究を進める。各教育委員会から届く事故の調査報告書や、死傷した児童生徒に見舞金などを支払う日本スポーツ振興センター(JSC)が持つ事故データを分析し、どう再発防止につなげていくのかを検討する。
小中高校などでの死亡事故をめぐっては、読売新聞がJSCの見舞金などの件数を調べたところ、16~22年度の7年間に少なくとも456件あった。一方、同期間の文科省への報告は141件にとどまり、徹底されていない実態が明らかになっていた。