埼玉県志木市の小中学校3校を小中一貫教育を行う「義務教育学校」1校に再編する計画に、地元住民が反発している。「校舎が窮屈になる」「そもそも再編の目的が不明確」などと主張しているが、市は計画推進の立場を変えておらず、両者の立場は平行線のままだ。(石井貴寛)
再編対象となっているのは、同市 館 にある志木第二中、志木第二小、志木第四小の3校。2027年度に義務教育学校「志木の森学園(仮称)」として開校する計画だ。小学生約900人と中学生約400人が通う大型校となる。
3校は敷地が隣り合っており、第二中と第二小の校舎をつなぐ渡り廊下を新たに設け、一つの学校として一体運営する。第四小校舎の活用法は未定で、特別支援学級の教室や、部活動、地域住民との交流の場などに使うことを検討している。
市学校教育課は、学校再編の狙いとして〈1〉中学校進学で新しい環境になじめず、学習のつまずきやいじめなどを理由にした不登校生徒が増える「中1ギャップ」を解消できる〈2〉小中両校の教員が協力し、切れ目のない教育を行える――といった説明をしている。
22年10月に計画が保護者に示されると、反発が広がった。現在三つの校舎に通っている児童・生徒が、新学校では二つの校舎分の敷地で学ぶことになることから「子どもたちの学校生活が窮屈になる」、「教員の数が減らされるのではないか」などと計画を疑問視する声が上がっている。
再編に反対する地元住民らは昨年2月、計画の撤回を求める有志団体を設立。今月21日までに、見直しを求める約2100人分の署名を香川武文市長に提出した。
主要メンバーの男性(72)は「3校を義務教育学校にするという話は、オープンに話し合われることもなく示された」と市の対応に不信感を募らせている。
市側は、3校を義務教育学校とする方針は「各小中学校長や保護者、町内会代表者らでつくる委員会で協議したもの」と、地域の声を入れていることを強調しており、「ホームページや説明会などを通じて市民の理解を図りたい」と、計画推進の姿勢を変えていない。
市は、今月19日まで実施した計画などについてのパブリックコメント(意見公募)を集計中で、まとまり次第公表する。