花柳輔太朗さん(中)の指導を受ける片山さん(右)と熊田さん=いずれも中央区で
本格的な伝統芸能を学ぶ小学生から高校生が8月3日、東京都台東区の浅草公会堂の舞台に立つ。公益財団法人「松尾芸能振興財団」が主宰する伝統芸能塾の受講生による公演で、8年目。本番を控え、子どもたちのけいこが熱を帯びる。(小形佳奈)
「足は広げすぎない」「だいぶ良くなったよ。きついけど頑張ろう」
15日、中央区内のけいこ場に、浅草や京都、博多の花街で芸者衆を指導する日本舞踊協会理事の花柳輔太朗さんの声が飛んだ。視線の先で、演目の一つ「正札附根元草摺(しょうふだつきこんげんくさずり)」に出演する高校3年熊田菜那さん(18)、中学3年片山優子さん(14)の2人が動きやせりふを確かめていた。
親の敵(かたき)に会いに行こうとする曽我五郎を片山さんが、それを止める小林舞鶴を熊田さんが演じる。五郎が持つよろいをつかんで引き留めようとする舞鶴との掛け合いが見ものの演目だ。
片山さんは配役が決まった昨年11月から、段ボールと粘土で、本物の小道具に重さも似せて手作りしたよろいで「筋トレ」してきたという。この日は、本物の小道具を初めて使ったけいこでよろいを巧みに操り、周囲を驚かせた。
大学で日舞を専攻したいという熊田さんは「華やかな演目を精いっぱい自分のものにしたい」と意気込む。2人は2017年の初回から出演しており、熊田さんにとっては塾生として最後の公演となる。
財団の大野木栄美事務局長によると、同世代が一緒にけいこできる伝統芸能の教室は少なく、群馬県内から通う塾生もいるという。
入塾1、2年目の小学生もけいこに励む
午後2時開演。小学3年~高校3年の計11人が、浅草ならではの日舞「吉原雀(すずめ)」や、長唄「末広狩」など三味線や太鼓、唄も披露する。観覧料1000円。7月31日までに申し込む。詳細は財団のホームページで。