出版社の双葉社(東京都新宿区)は16日、生活困窮者や野宿者への差別を助長する危険性が非常に高いなどとして、ルポライター國友(くにとも)公司氏の書籍「ルポ路上メシ」の回収を始めた。出荷も電子書籍の配信も停止した。野宿者らによる団体などが「野宿者、困窮者を侮辱し、危険にさらす」として、同社と國友氏に抗議声明を出していた。
双葉社は、國友氏と合意した見解をウェブサイトに公表。著者が身分を明かさず取材したことや、差別的な表現があることを認めた上で、「無自覚な偏見や特権性があったことが問題の本質。当事者や関係者に多大な精神的苦痛を与えた事実を極めて重く受け止める」とおわびした。

「ルポ路上メシ」について、お詫びと回収、電子配信の停止を伝える双葉社のウェブサイト(スクリーンショット)
書籍は2025年11月発行。生活困窮者らが列を作る炊き出しに足を運び、提供されていたカレーライスやぶっかけメシなどの他、出会った人たちの声や暮らしぶりも紹介した。雑誌「週刊大衆」に掲載された内容を加筆、修正し、四六判352ページにまとめられた。
野宿者らがつくる団体「ねる会議」は5月、出版が重大な人権侵害に当たるとして同社に抗議声明を提出。支援団体など47団体と個人804人が賛同した。

生活困窮者への取材や表現が問題となった書籍「ルポ路上メシ」
声明では、國友氏が取材意図を隠した上で困窮者らに近づき、生活実態や病歴などのプライベート情報を聞き出したと指摘。支援団体の訪問活動を尾行して特定した寝場所を記載しており、暴力や放火といった「襲撃」を招く恐れがあるとした。風貌や年齢から、人物が特定しうる描写もあった。誤った内容も含まれ、当事者を「爬虫(はちゅう)類」などとも冷笑しているとした。
國友氏が接触した複数の人が書籍の内容にショックを受けており、「異議申し立てが困難な人を揶揄(やゆ)の対象にすることは卑劣であり、娯楽的な読み物として商業出版し、利益を得ることは搾取的」だと訴えていた。
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生活困窮者らへの差別的な表現があり、出版社が回収することになった書籍「ルポ路上メシ」。その中に、元路上生活者の神山裕次さん(63)とみられる男性が登場する。著者の國友(くにとも)公司氏から「取材依頼」はなかったという。神山さんは路上生活者な...
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