<力の源このまちと>
サッカー元日本代表のDF昌子源(しょうじ・げん)には、「一生忘れることはない」という光景が脳裏にある。2019、20年に在籍したフランス1部トゥールーズ時代だ。現所属のJ1・FC町田ゼルビアの地域活動に参加した6月、そう明かした31歳は、選手である意味をあらためて考えたという。
子どもたちと手を合わせるJ1町田の昌子=東京都町田市で
昌子が今季加入した町田はここ数年、新年度に入るとクラブスタッフが市内小学校を訪問し、特製の下敷きを1年生に寄贈している。今回は「サプライズ」で選手を代表して主将の昌子が参加。午前の練習後、体育館では質問を受けたり交流しながら1人ずつに手渡していった。
児童が教室に戻った後、昌子は「(こうした活動は)やっぱり大事だと思う」としみじみと語る。プロになったJ1鹿島アントラーズや、ガンバ大阪でも小学生らと交流しながら声援をもらってきたが、トゥールーズで「今でも思い出すとうるっとくる」という体験があった。
選手らの病院訪問。2014年ワールドカップ・ブラジル大会などをコートジボワール代表として戦ってきた当時のチームメートで現在36歳のFWマックス・グラデルは偉大な主将で、衛生服を着て病室に一緒に入ったときのこと。症状の重い子どもがベッドから「体をぐっと、グラデルだ!って声を上げる。あんなにも笑う。親御さんも(子どもの反応に)泣いて喜んで」と昌子。「それを見たときに、こういう活動の意味というか…」と回想する。
今季の町田は「結果」で存在感を示す中、「僕のことを知らなくてもゼルビアを知らなくても、こういう活動は大事。応援しに行こうとか選手になりたいとか思ってもらえるよう、僕たちはしっかり活躍する」と話す。(上條憲也)
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