自民党は、7日の東京都知事選で3選を果たした小池百合子氏を支援したが、派閥の政治資金パーティー裏金事件への国民の不信感は根強く、党総裁の岸田文雄首相ら党幹部は表立った応援を控えた。自民幹部が小池氏と街頭演説で並び立つこともなく、支援を見せないような「ステルス戦術」に終始。小池氏の勝利は自民が支持された結果とは言えず、内閣支持率が低迷する岸田政権の追い風にはならない状況だ。
自民の稲田朋美幹事長代理は7日夜、NHK番組で「小池氏の勝利が自民の勝利ではない。自民に対する批判は、まだまだ収まっていない」と述べた。
首相は知事選の告示日に「大変重要な選挙だ。自民都連と連携を図りつつ、党としても必要な支援を行っていきたい」と強調していたが、裏金事件の逆風で自民の支援がマイナスになりかねず、業界団体への働き掛けなど後方支援にとどめた。自民の茂木敏充幹事長は都議補選の応援演説で「政治資金の問題でわが党に大変厳しい声が寄せられている」と釈明したが、小池氏の支援への言及はなかった。
実際、石破茂元幹事長や河野太郎デジタル相ら知名度の高い応援弁士が駆け付けた先は、都議補選の自民候補。自民幹部らが小池氏と街頭で一緒にマイクを握ることはなかった。
都内選出の自民衆院議員は「小池氏からテコ入れを頼まれておらず、党本部も何もしていない。自民都議が小池氏のビラを配るぐらい」と明かす。その上で「小池氏が勝っても、自民が支持されたことにはならない」と自嘲気味に話した。
小池氏は告示前に「政権与党と連携するところはしていく」としていたが、立憲民主党などの支援を受けた蓮舫氏が「自民と二人三脚」と批判。小池氏は「自民カラー」を出さない戦略を取った。(山口哲人)
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