今春、北陸新幹線が敦賀まで延伸開業したおかげで、東京から福井県へ行きやすくなった。「うちの本店にも行こうかな、とおっしゃるお客さんは多いですよ」と「ふくい、望洋楼」=写真(上)=の料理長、八木健一さんもニッコリ。
ここは東京都港区。福井県のアンテナショップ隣に構える。本店「望洋楼」は福井県坂井市にあり、厳選した越前ガニが自慢の高級料理旅館として知られる。
東京店は今年で13年目。やはりシーズンの冬場には越前ガニを求める客でにぎわう。漁獲量などにより価格変動が激しく、1杯10万円になったこともあったとか。そんな話を聞くと、のれんをくぐれなくなりそうだが、ここには庶民的な福井のソウルフードもある。
写真(下)は「名物ソースカツ丼と越前おろし蕎麦(そば)50g」。サラダ、小鉢、香の物が付いて1800円。ご当地のカツ丼は卵でとじない。薄くたたいてのばした豚ロースに、細かいパン粉をつけ、油で揚げたらソースにドボン。ご飯にのせる。他の具はない。このシンプルさにハマる。また、この店のソースはウスターソースに醬油(しょうゆ)やだしを合わせた特製なので、くどさがなく、さらに食べやすい。
越前そばは、福井県内の姉妹店で手打ちし、鮮魚や野菜とともに、毎日直送。輸送費はかかっても福井の食材にこだわり、新鮮さと風味を生かしている。
入り口側にしつらえた小庭が窓外で鮮やかに彩りを添える。都会の喧噪(けんそう)を遮る和の隠れ家で、じっくり福井を味わえる。(さりあ)
東京都港区南青山5の4の41グラッセリア青山1階。11~15時(ラストオーダー14時半)、17時~21時半(同20時半)。火・水曜定休。(電)03・6427・2918