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地元の店主は大企業社長よりも「偉い」…選挙に出て知った地域社会 長妻昭氏が証言する「自民の強さ」の源泉

May 6, 2026 技術と科学 IDOPRESS

〈ライバルとして見た「自民党」野党政治家インタビュー〉前編


自民党が歴史的大勝を果たした2月の衆院選では「非自民が比較的強い」とされてきた東京でも、自民が初めて都内30選挙区を制覇した。ただ、その後の清瀬市長選(3月)、練馬区長選(4月)では自民が支援した候補が敗れ、組織の弱体化も指摘される。

衆院選の圧勝劇は「高市旋風」による一過性の現象だったのか。今回、都内の選挙区で議席を失った野党政治家3人に、地元で対峙(たいじ)する自民党の「実力」がどう映っているのかを尋ねた。2回に分けて紹介する。

前編では、東京27区(中野区と杉並区東部)で惜敗し、比例復活した長妻昭氏に聞いた。(木谷孝洋)

◆サラリーマン時代には見えなかった「もう一つの日本」

長妻氏は2000年の衆院選以降、2005年の「郵政選挙」を除き、東京7区(現在は東京27区)で当選を重ねてきた。東京で選挙に強い野党議員の代表格だったが、中道改革連合の候補として臨んだ2026年は自民党の黒崎祐一氏に約4000票差で敗れ、比例復活でかろうじて10回目の当選を果たした。

──自民党の実態や強さの源泉をどのように捉えているか。

自民党が圧勝した2月の衆院選を振り返る中道改革連合の長妻昭衆院議員(松崎浩一撮影)

私が衆院選に初めて出て落選したとき、「二つの日本がある」と痛感した。


私は大学卒業後、NECに入社し、サラリーマンとして働いた。父親は警察官。そうした環境にいる人間は「一つの日本」に生きていると言える。つまり、大企業の社長は当然、「偉い」と考える世界だ。

だが、選挙に出ると、全く違う風景が見えてくる。

大企業の社長はその地域の選挙で大きな影響力を持っていないが、例えば商店街のタバコ店の店主は地域に人脈があり、数十票、場合によっては数百票に影響を与えているかもしれない。地元の小中学校に通い、商売や地域活動を通じてネットワークを築いているからだ。そこに、自民党という政党はがっちりと食い込んでいる。

私の地元・中野区には100あまりの町会があり、それぞれに町会長がいる。シニアクラブや消防団があり、保護司、民生委員もいる。紛れもなく地元の有力者であり、最近は大きく変化しているものの、いまなお自民党の影響力が強い。

自民党は、こうした有力者たちから支持を得る「ツボ」を熟知している。この人的インフラがある限り、自民党は強い。逆に言えば、野党議員がこのネットワークに浸透するには、少なくとも10年はかかる。

──この有力者ネットワークはどう機能しているのか。

例えば、町会の新年会がいつどこで開かれるかは、政治家にとって重要な情報だが、野党の国会議員にはなかなか入ってこない。一方、自民党の場合は、候補者が変わっても必ず情報が入る。それぞれの地域に区議などの地方議員がいるからだ。

地域情報の入手という点で、野党には非常に大きなハンディキャップがある。


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──野党議員がこうしたネットワークに浸透するのは難しいか。

これは難しい。(住民の出入りが多い)東京ですら難しいのだから、地方はさらに厳しいのではないか。

ただ、地域の商店も代替わりしたり、大手資本のチェーン店に置き換わったりしている現実がある。地域のつながりが希薄になり、無党派層が増えている面もある。そうした人たちに政策を訴え、食い込んでいく余地はあると思う。

──自民党には地方議員、自治体の首長、国会議員のピラミッド構造がある。

私がよく言っているのは、民主党政権を10年継続させるべきだったということだ。10年政権を維持しないと地域のネットワークに定着しない。10年あれば統一地方選が2回はある。

自民党の底力は、どこに行っても地方議員がいて活動していることだ。首長も自民党系が多い。地域の要望への対応も、地方議会、首長、国会議員が一気通貫でできる。

こうした部分に野党も勢力を伸ばしていかないと対抗できない。民主党政権は3年3カ月しか続かず、自民党支持の構造を変えられなかった。

野党の若手議員の中には、この有力者ネットワークを一生懸命回っている人もいる。当然「よく顔を出す」と評判は良くなるが、それがすぐに票につながるわけではない。

◆民主党政権で企業・団体献金禁止法を成立させておけば…

──政治資金の集め方についてはどうか。

自民党と野党では、資金力の差がけた違いだ。

私が厚生労働大臣になったとき、ある人から「長妻さん、大臣になったら年間1億円は集まりますよ」と言われた。厚労省に関連する業界団体は多く、政治資金パーティーの券を買ってもらったり、企業・団体献金を受けたりできるからだ。

私は企業・団体献金は受け取らず、パーティー券も企業や団体には買ってもらわない主義なので断ったが、長く政権についていると、さまざまな形でお金が集まってくる。資金力では自民党が圧倒している。

自民党が圧勝した2月の衆院選を振り返る中道改革連合の長妻昭衆院議員(松崎浩一撮影)

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