日本橋七福神巡り2週目となる今回は、北側エリアの3社に足を運びます。投資家やトレーダーからの信仰も篤い「末廣神社」、日本三大稲荷のひとつである茨城県・笠間稲荷神社の東京別社「笠間稲荷神社」、江戸時代の宝くじ「富くじ」にまつわる富塚がある「椙森(すぎのもり)神社」をお参りしました。
イラスト:杉崎アチャ
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日本橋エリアの再開発においては、江戸以来の歴史を引き継ぎ、伝統と革新が共存する現代的な街づくりを行うことが重視されてきました。日本橋七福神巡りの神社が多く集まる人形町駅周辺は、老朽化した建物が多く、夜間の人通りが少ないことによる防災上の不安が懸念されていました。地元のための防災拠点としての機能を備えた高層マンション「リガーレ日本橋人形町」が竣工したのは平成19年(2007年)。敷地内では、地域町会によって茶ノ木神社が祀られています。また、平成28年(2016年)には水天宮の建て替え事業が完了し、境内全体が免震構造となりました。このように、古くからの伝統を守りながら、賑わいのある街と安全で暮らしやすい街の調和を目指した再開発が進められているのです。
左は「宝生弁財天の御朱印」(初穂料500円)。金色の御朱印は巳の日限定で頒布。右は「例大祭限定セット」(初穂料1000円)。※実際の御朱印には参拝した日付が入ります。また、宝生弁財天の印は印刷です。
七福神巡りに対して、お正月に7社を巡って御朱印を集めるものというイメージを持っている方も多いのではないでしょうか。もちろん、七福神巡りが最も盛んなのはお正月の時期。ですがそれ以外の期間でも、同じようにご利益を受けられます。お正月以外の七福神巡りには、混雑を避け、スムーズに各社を巡れるというメリットもあるんです。
日本橋七福神巡りでは、茶ノ木神社のみ、直書きの御朱印はお正月の期間にしかいただけませんが、事務所にある書き置きを持ち帰ることはできます(初穂料は他社と同じく500円)。そのほかの6社では、通年にわたって直書きの御朱印を頒布しています。特別な御朱印をいただける貴重な機会として注目したいのが、例大祭をはじめとした各社の祭典や、12日周期の「日の干支」です。
水天宮の例大祭は毎年5月5日に執り行われ、この日から、クリアファイルと御饌米、金文字で「水天宮」と書かれた例大祭限定御朱印がセットになった「例大祭限定セット」が頒布されます。御饌米は、自宅のお米に混ぜて炊いて食べるとご利益があると言われています。例年、3ヶ月程度で頒布終了となりますので入手したい方はお早めに。水天宮の御朱印と併せて、境内で祀られている宝生弁財天の御朱印もいただきましょう。蛇が弁財天の遣いであるとされていることから、12日に1度の巳の日には金色の宝生弁財天の御朱印がいただけます。
小網神社の「福禄寿の御朱印」(初穂料500円)。特に混雑することが多い小網神社では、その日の状況次第で御朱印の受付を縮小する場合があります。順番待ちの際には近隣や車道に配慮し、職員さんの指示に従いましょう。
宝くじの起源である富くじに縁がある椙森神社では、毎月13日と10月3日の「富の日」に限定御朱印が頒布され、さらに富の日に金曜日が重なった日には「富」の文字が金色になります。この「金の富の日限定御朱印」は特に人気で、社務所に行列ができることもあるそう。
持参した御朱印帳に書いてもらえるか、直書きの朱印紙を受け取るかは、混雑状況や御朱印の種類にもよります。参拝当日に各社の社務所にお問い合わせください。
神社同士の距離が比較的近く、日本で最も短時間で参拝できる七福神巡りである日本橋七福神巡りは、御朱印デビューにもぴったり。
初夏のお散歩を楽しみながら、縁起の良い七福神の御朱印を揃えませんか?
奉納されている毘沙門天像を拝観できる開帳日は主に寅の日。この毘沙門天像は、彫刻家の浮田麻木氏が一木造で彫ったものです。
慶長元年(1596年)以前に稲荷祠として鎮座。元和元年(1615年)、徳川家康の命令で最初の宮司を駿河の国から呼び寄せ、この神社に奉仕させたという記録も残っています。元和3年(1617年)に周辺地域が開拓され、江戸で初めての遊郭・吉原(元吉原)が誕生。次第に吉原の地主神として信仰を集めるようになります。武士に加え、一帯の防災を担っていた火消しからの崇敬も深く、火消しのいろは組の石碑が境内に残されています。財運のご利益がある神社として、近年は投資家やトレーダーからも注目を集めています。
女性と子どもの守り神として信仰されている養母世稲荷。祀られているのは江戸時代に吉原で産婆をしていた徳の高い女性です。その女性は、吉原で働く女性のために子どもを預かったり、孤児を引き取って手厚く育てたりしたそう。お社は長年、近隣の有志によって守られていましたが、10年ほど前に末廣神社の境内に移されました。
職員
延宝3年(1675年)の社殿修復の際に中啓(末廣扇)が見つかり、末廣神社と名付けられました。ご参拝の際には、財運や厄除けなどを祈願すると共に、いろは組の石碑や養母世稲荷から、江戸で懸命に暮らしていた人々の存在を感じ取っていただければと思います。
参拝者
有名なトレーダーが折に触れて足を運ぶ神社だと知って参拝。徳を授け高める力があるといわれる「末廣徳の石」の上にお金を置き、願いを込めることができました。このお金を持ち歩き、徳運を貯めていきたいですね。
<データ>
住所中央区日本橋人形町2-25-20
電話03-3667-4250
参拝時間24時間参拝可
御朱印受付時間9:00~17:00※対応できない場合あり
次ページに続く。日本三大稲荷のひとつである茨城県・笠間稲荷神社の東京別社「笠間稲荷神社」、江戸時代の宝くじ「富くじ」にまつわる富塚がある「椙森神社」をご紹介します。
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