渋沢栄一が描かれた新紙幣を手にする人=いずれも北区で
新1万円札に肖像が描かれた実業家・渋沢栄一ゆかりの東京都北区では、新紙幣が発行された3日、祝賀ムードに満ちた。発行に合わせて衣替えした城北信用金庫しぶさわくん支店(王子1)には、新1万円札をいち早く手に入れようと、交換を待つ長い列ができた。(鈴木里奈)
支店前には午前7時から人が並び、11時ごろから交換を開始。昼過ぎには店内がごった返し、手続きを始めてから受け取るまで1時間以上かかる人もいた。
北区内に勤める武市圭子さん(63)は、会社の貯金30万円を新紙幣に交換した。「新紙幣が欲しくて待っていた。写真を撮って、全国の友だちに自慢したい」と真新しい1万円札を手に笑顔を見せた。
同信金は5月、新紙幣発行を機に区内を盛り上げようと、JR王子駅近くの出張所を「しぶさわくん支店」に衣替えした。担当者は「この日のために3年以上準備してきた。今日の盛り上がりを今後も保っていきたい」と盛況に安心した様子で話した。
新紙幣発行を記念し、くす玉を割って祝う子どもたち
後の王子製紙を北区王子に設立した渋沢栄一が、後半生を過ごした区内の飛鳥山では、発行を祝うイベントがあった。渋沢が書庫や接客に使った青淵(せいえん)文庫前広場には地元商工会関係者ら約200人が集まり、くす玉を割ると「祝渋沢栄一翁の新1万円札発行!」の垂れ幕が躍った。
地元の幼稚園児たちも、手持ちの小さなくす玉を割って祝った。石川幼稚園の国分耀司君(5)は「早く新しいお金を見たい」と喜んだ。区内の小中学校の給食では、ナスのミートソースパスタやサツマイモの春巻きなど、渋沢栄一の好物を使ったメニューを提供した。