猛暑で品薄になっているキュウリの出荷量を心配する産直コーナーの担当者=東京都足立区のスーパーで
高い気温が続き、農作物の生育に懸念が高まっている。今夏の猛暑で、夏野菜の代表格であるキュウリが品薄傾向となっている。暖冬の影響で、梅やサクランボも不作に見舞われた。今後も全国的に高温の傾向は続く見通しで、農作物の出荷量が減り、商品価格が値上げされれば、物価高で厳しさが続く家計に追い打ちとなりかねない。(砂本紅年)
農林水産省によると、キュウリは主産地の福島県などで高温と曇天の不安定な天候が続き、生育不良で出荷量が減少。東京都中央卸売市場の卸値は平年比5割高で推移している。
全国のスーパーなどで産直コーナーを運営する会社「農業総合研究所」(和歌山市)の担当者も「キュウリは関東近郊で品薄傾向で集荷に苦労している」と話す。落下や太さが偏るなどの高温障害が発生し、出荷基準を満たしたものの割合が低下。暑さで関東での収穫時期が数週間前倒しとなり、他産地の切り替わりがうまくつながっていないことも一時的な品薄の要因という。
同社によると、今年は梅が「歴史的不作」になった。取引先の生産者や、小売店2000店舗以上を対象に調べたところ、5月の収穫量は昨年同月比44%減とほぼ半減、6月も同34%減だった。5月の価格は同約15%上昇し、6月は同約40%も高くなった。
梅は暖冬で、主力品種の南高梅が例年より大幅に早く開花。ミツバチが活発化する時期ではなかったため受粉が進まなかった。例年より多くのカメムシが越冬、梅の実を吸う被害が出たことも追い打ちになった。梅干しは収穫した梅を順次漬け込んで出荷するため、「今後ゆるやかに値上がりしていく見込み」(広報担当者)という。
サクランボも不作に見舞われた。農水省によると、全国の約8割のシェアを占める山形県では、高温で二つの実がくっついたり、収穫前に熟して売り物にならなかったりした実の割合が目立った。収穫シーズンは終わったが、同省の担当者は「一部に壊滅的なところがあり、現在、全容を調べている」と話す。
収穫ピークを控えたナシ、桃、ブドウなどの産地では、水まきや遮光ネットなどで暑さ対策に取り組んでいるという。
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