一夜で10万人が亡くなったとされる1945年の東京大空襲から10日で81年。民間博物館「東京大空襲・戦災資料センター」(東京都江東区)では本年度、高齢の空襲体験者に代わり惨劇を語り継ぐ5人の継承者が誕生した。オンラインや紙芝居を使うなど伝え方も多彩に。既にいた2人と合わせて計7人が伝承を担う。(井上靖史)

講話をする関隆史さん。東京新聞で知った戦災孤児の鈴木賀子(よりこ)さんの体験を伝承している=東京都江東区の東京大空襲・戦災資料センターで(坂本亜由理撮影)
「お兄ちゃんが防空壕(ごう)で死んだと聞いた私は、うそだ、うそだと父に言うことしかできなかった」。2月28日、センターでは兄と祖母を亡くした葉山美佐子さんの体験が語られていた。
会社員丸谷裕子さん(42)による継承講話の実演で、語っていた場所は名古屋市。オンライン画面に火の海を逃れたルート図と現在の現地写真を映し、語りかけた。昨年までセンターがある東京都江東区に住んでいたが転勤となり、遠隔で伝承できるか挑戦。会場には鼻をすする聞き手もいて、内容は届いた様子だった。

継承者育成プログラムの修了証を画面越しに受け取るしぐさをする丸谷裕子さん。左は東京大空襲・戦災資料センターの吉田裕館長=東京都江東区の東京大空襲・戦災資料センターで(坂本亜由理撮影)
吉田裕館長からこの日、修了証を画面越しに受け取るしぐさをした丸谷さんは「オンラインに可能性を感じた。センター以外の場所から、もっと東京大空襲を知ってもらう機会を増やせるかもと思った」という。
センターは継承者の育成を2021年度に検討し始めた。広島など先進地域の事例に学び、まずは同センターの小薗崇明学芸員(47)とボランティアガイドの高校教諭早川則男さん(68)が体験者への聞き取りや現地調査を重ね、2022年度に継承者となった。

オンラインの継承講話を聞く人たち=東京都江東区の東京大空襲・戦災資料センターで(坂本亜由理撮影)
2人を先例に2023年度、本格的な育成プログラムをスタート。体験者と一緒に現地を歩いたりすることはもちろん、全体像を理解した上で話せるよう東京大空襲とは何か、アジア・太平洋戦争とは何か、を書籍を読んで感想をまとめた...
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