〈法廷の雫〉
ひな祭りの日、女性が狭い部屋の中で産んだ子は、気づいた時には冷たくなっていた。そしてカッターナイフを手に、遺体を切断した。
なぜそんなことを…。女性が法廷で語った「理由」とは。
3月16日、東京地裁の法廷。被告である女性(22)が検察官から質問を受けていた。
検察官「飲酒にたばこ、風俗店勤務。流産させたかったんじゃないですか」
被告「最初は中絶したかったが、できる時期を過ぎていた。その後は、流産すればいいと思っていた。でも胎動が始まって、赤ちゃんがおなかの中でくしゃみしているのが分かった。最後は出産して、育てるつもりだった」
それまで消え入るような声で被告人質問に答えていた被告が、強く反論した。

寄稿・石原燃
中絶は守られるべき選択肢「堕胎罪」と人権、イギリスの議論から日本が学ぶべきこと
被告は出産時に死亡した赤ちゃんをカッターナイフで切断し、一部を勤務先の風俗店の冷蔵庫で保管し、残りをごみ箱に捨てたとして死体損壊、死体遺棄の罪で起訴されていた。
被告は専門学校を卒業後、飲食店やキャバクラで勤務。2024年11月から派遣型風俗店で働いていた。
法廷で語られた妊娠の経緯はあいまいだった。

東京地裁が入る合同庁舎(資料写真)
妊娠したのは風俗店で働く前の2024年5月ごろ。被告は「父親が誰か分からない」と証言した。
その時期に、複数の男性と性交渉があったからではない。
妊娠したと考えられる時期の性交渉は1度だけ。だが、その相手が誰なのか分からないという。
弁護人「父親が誰か分からないのか」
被告「仕事の後、気付いたらホテルでことが終わっていた」
青木美佳裁判官は当時の経緯について「事件に巻き込まれた記憶はあるか」と尋ねた。
被告はこう答え...
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