戦時中の沖縄で日本兵の慰安婦にさせられた朝鮮人女性、裴奉奇(ペポンギ)さんを主人公にした新作の能で、英語で演じられる「BAE BONG-GI(ペ・ポンギ)」が10月3日、東京都中野区の梅若能楽学院会館で上演される。
創作したのは、演者も務める米国人のゲイリ・マシューズさん(73)=神奈川県鎌倉市。裴さんを取材したノンフィクション作家川田文子さんの著作「赤瓦の家」をベースに、幽霊となった裴さんの語りに元兵士が耳を傾ける物語だ。(柏崎智子)
裴さんは、日本統治下の朝鮮半島で困窮しているところを、「女紹介人」の男らに声をかけられた。「南国の楽園で仕事をしなくても金がもうかる」とだまされ1944年、沖縄・渡嘉敷島へ連れて行かれ、集落の外れの慰安所で連日、兵士の相手をさせられた。
米軍の激しい攻撃にさらされるようになると島内を逃げ惑い、敗戦後は放置され、知る人も土地勘もない沖縄を放浪。晩年は人とのかかわりを避けるように暮らし、帰郷しないまま1991年に死去した。

創作した能「ペ・ポンギ」に込めた思いを語るゲイリ・マシューズさん=神奈川県鎌倉市で
マシューズさんは米ケンタッキー州出身で、学生時代に世界の古典文学や舞台芸術を学び、能と出合った。「人間の感情を体の奥深くから表現し、観客の想像力をかき立てる力に魅了された」と話す。大学教員となった後も能を愛する世界の仲間たちと学び合い、英語能を上演する...
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