10万人が犠牲となった東京大空襲など太平洋戦争中の惨禍を引き継ごうと、東京都が1990年代に収録しながら長年、非公開としてきた戦争体験者の証言映像が31日から、リニューアルオープンする江戸東京博物館(墨田区)で常時公開される。収録した330人のうち198人分で、約30年を経てようやく活用される。残りの証言をどう扱うか、課題も残っている。
「一緒に避難した兄が(空襲で起きた火災の)熱風で吹き飛ばされたんです」
体験者の生々しい証言は1人約10分に編集され、無料で入れる7階の図書室で見られる。専用の2席があり、内容や被災した場所に応じて見たい人を探せる。

図書室で見られる東京大空襲の証言映像=東京都墨田区の江戸東京博物館で(久野千恵子撮影)
証言映像は都が1990年代に整備を計画した仮称・都平和祈念館で公開するため1995~1999年ごろにビデオに収録した。空襲体験者で作家の故早乙女勝元さんらの提案を受け、都が約1億円の経費を充てて委託制作した。
だが祈念館の展示を巡り日本の加害を含めるかなど都議会で意見が対立。祈念館の計画は1999年に凍結され、証言ビデオも毎春の東京空襲資料展で紹介される同じ9人を除き、都の倉庫にしまわれたままとなった。
東京新聞は貴重な証言が活用されないのは問題だとして、連載などを通じて追及してきた。証言者の高齢化やロシアのウクライナ侵攻などもあり、公開を望む声が都議会で高まり、都は公開を目指す方針に転換。2022年12月から、予定した平和祈念館ではない施設で公開しても良いか、本人や親族に意向の確認を取り直した。

資料展会場で流れた早乙女勝元さんの映像=東京都豊島区で
2024年春から空襲資料展の期間限定で、百数十人分を初めて公開。江戸博では、これまでに同意が取れた198人をいつでも見られるようにした。半面、都によると昨年10月末時点で15人から公開を断られ、63人は連絡が全く取れていない。
博物館の新装に合わせ、都は空襲関連でほかにも新たな展示をする。有料の常設展示のうち、「空襲と都民」のコーナーで、当時の状況を感じてもらおうと長さ約1メートルの爆弾の破片など、所有する5040点の実物の資料を順次展示する。
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「大変、結構なことです」。東京大空襲で家族5人を亡くし、約30年前、都の求...
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