警視庁高尾署の留置施設でトルコ国籍のムラット・チチェックさん=当時(48)=が急死した問題で、原告の遺族側が損害賠償を求めた訴状に「警察の過失」として記した点は多岐にわたる。警察は命を救えるチャンスが何度もありながら、いずれも適切に対応せず、「手遅れ」に至らせた可能性が浮上する。死亡の経緯について、警察の情報公開にも問題があり、遺族の不信を増幅させている。
「これは、犯罪だ。責任者を追及してほしい」。ムラットさんの遺族は訴えているという。

ムラット・チチェックさんが亡くなった状況などを説明する神原元弁護士(右)と松本亜土弁護士=27日、東京・霞が関の司法記者クラブで(久野千恵子撮影)
遺族代理人の松本亜土弁護士は、2021年に名古屋出入国在留管理局で、収容中に亡くなったスリランカ人女性、ウィシュマ・サンダマリさん=当時(33)=の遺族による国賠訴訟の弁護団にも加わっており、「病院に連れてって、という必死の叫びや苦しみの声を最後まで聞き入れなかった点はウィシュマさん事件と同じ」と対応を問題視する。
司法解剖によるムラットさんの死因は、腹膜炎。十二指腸潰瘍が進行したことにより穴があき、消化器の内容物が腹腔(ふくこう)内にあふれ出て炎症を起こしたとのことだった。激烈な痛みを伴うのが一般的という。
兆候は早くからあった。
6月25日から署に勾留されたムラットさんは29日に嘔吐(おうと)。30日から腹痛を訴えたが、署員が翌朝まで3回にわたり常備薬を与え続けている。訴状は「実質的な医療行為」とし「医療の素人である署員が薬で対応可能と判断したのは不適切」で、この時点で...
残り
960/1610 文字
この記事は会員限定です。
無料会員に登録する
有料会員に登録する
ログインして続きを読む
有料会員に登録すると
会員向け記事が読み放題
記事にコメントが書ける
紙面ビューアーが読める(プレミアム会員)
※宅配(紙)をご購読されている方は、お得な宅配プレミアムプラン(紙の購読料+300円)がオススメです。
会員登録について詳しく見る
よくある質問はこちら