人身事故が全国で最も多かった板橋区の熊野町交差点の景色は、ある時から変わった。一角に昔懐かしいホーロー看板などがたくさん置かれ、縁日や遊園地のごとくにぎやかに。「昭和レトロ」と呼ばれて親しまれたその場所が、9月末に幕を閉じた。誰がなぜ始めたのか。最終日に現地に行ってみると…。(中村真暁)

黄金の釈迦如来座像やホーロー看板などが並べられた「昭和レトロ」な空間=東京都板橋区で(池田まみ撮影)
池袋駅からほど近い、交差点北側の広さ110平方メートルほどのエリアは、まるで異空間のようだった。銀座界隈(かいわい)の結婚式場で使われた鐘や、1863年の薩英戦争時の大砲、いっぱいの花弁で飾られた「花自動車」なども置かれていた。

「カラフルで、何だろう」。通りがかりの男性が足を止めた。埼玉県から週1度は通ってきたという女性(47)は「昭和が好き。カオスな感じが浮き浮きするんです」と声を弾ませた。下校中の男子中学生は、「温かくて安心できる場所だった。終わるのはさみしい」と残念がった。

かつて交通事故が全国で最も多かった熊野町交差点。その脇にある「昭和レトロ」=東京都板橋区で(池田まみ撮影)
「昭和レトロ」を始めたのは、古物商の加藤正衛(まさえ)さん(85)。池袋で不...
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