渡辺正道社長(右)の説明を聞きながら鍋の中身をかきまぜる生徒=いずれも葛飾区立石で
都立農産高校(東京都葛飾区西亀有)の生徒有志が区内の食品会社「ワタナベ食品」と連携し、校内で醸造したみそを使ったカレールウの開発に取り組んでいる。生徒らは「地域に広めたい」と張り切っている。(小形佳奈)
同校では、農産高校ならではの学びを深化し、地元企業との結びつきを強めようと、同校産のみそを活用するプロジェクトを進めている。
5月下旬、プロジェクトメンバーの生徒4人が、創業77年のワタナベ食品でカレールウ作りの工程を見学した。ラードや植物油を熱し、小麦粉を入れて混ぜた大鍋にニンニクと赤ワインのペーストが投入されると、「香りが変わった!」と声を上げた。
生徒たちは、メモを取りながら同社の渡辺正道(ただみち)社長(45)の話を聞き、長さ1メートルほどの大きな泡立て器で鍋の中をかきまぜる作業を体験。「工程のどこでみそを入れるのか、考えてみて」などとアドバイスを受けた。
ワタナベ食品のルウで作ったカレーを試食する生徒たち=都立農産高校提供
食品科2年の田辺凜花(りりか)さん(17)は、同じクラスの野村かれんさん(17)を誘って参加。田辺さんが「ほかの調味料と同じタイミングでみそも入れたら」と促すと、野村さんが「風味が飛んじゃうかも。みそ汁は最後に入れるよね」と返す場面もあった。
「カレー好きだし、面白そう」と手を挙げた園芸デザイン科3年小高颯太さん(19)は「みそは深みを出すのに使えそう」。部活動でもみそを造っている同上林高空(たから)さん(17)は「隠し味程度でいいのでは」などと意見していた。
今後は今秋の商品化を目指し、同社監修の下で試作を重ねる。商品化に成功すれば、ルウを地域の飲食店で使ってもらうための企画案なども練っていく。食品科の佐藤桃子教諭(26)は「地域連携の中で、専門性を生かし深められるような機会をつくり、生徒たちを伸ばしていきたい」と話している。