〈坂本光司さんと歩く「いい会社を探して」〉障碍社
50年間にわたり全国8500社を見て回り、いい会社を世に広める活動を続けている「人を大切にする経営学会」の坂本光司名誉会長(元法政大学大学院教授)。社員や顧客など会社に関わるすべての人を大切にする会社は、業績も良いと説きます。記者が坂本さんに同行して、きら星のごとく輝く会社や経営者を随時紹介していきます。
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「今回は、重度の障がい者が起業し、障がい者が中心となって発展させてきた素晴らしい会社です」
そう話す坂本さんと向かったのは、町田市にある障がい者福祉の総合企業「障碍(しょうがい)社」だ。
町田駅近くの本社に着くと、車いすの社長・安藤信哉さん(51)が玄関で出迎え、社内を案内してくれた。通路は車いすがすれ違えるほどに広く、それぞれのデスクの高さも車いす利用者に合わせて調整されている。社員はパートを含めて335人で、障がい者雇用率は17.45%(法定雇用率は2.7%)に上る。

車いすの修理作業を行う福祉用具事業所のスタッフ=相模原市で(障碍社提供)
創業から21年で事業は多角化した。本社には、主要事業の重度訪問介護・居宅介護事業や、ヘルパーなどの資格取得を支援する資格講習事業、相談支援事業のオフィスが同居。さらに八王子市内などに就労継続支援B型事業所2カ所、車いすなど福祉用具を修理・販売する事業所がある。
安藤さんは高校3年の時に不慮の交通事故で脊髄を損傷、手足の自由を失い、車いす生活になった。退院後、母親らの介助で予備校に通い大学、さらに大学院へ進学、経営学を学んだ。
しかし、移動支援や自宅で介護する公的制度のホームヘルプサービスは通学や通勤など「長期にわたる反復継続的な外出」には原則使えない。制度の壁に当たり大学院も博士課程3年でやめざるを得なかった。優秀な障がい者の仲間も働くことができなかった。
「それなら会社を創り、通勤介助サービスを提供しよう」と2005年、ワンルームマンションの一室で、前身となる会社を立ち上げた。

パソコンで作業する「障碍社」の社員たち=東京都町田市で(中村千春撮影)
「重度障害者に就労機会をつくること」を目指した会社は順調に成長してきた。飛躍の秘訣(ひけつ)は、自らの経験から学んだ信念だった。
通常、訪問介護事業は、事業者が主体となってヘルパーを派遣する。事前にスケジュールは決まっていて、障がい者が外...
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