「社会の片隅」に置かれた人たちの声を届けたい──。社会学者で東洋大教授の井沢泰樹さん(63)は、少数者や差別を受けてきた人々が抱える問題に焦点を当て、自らラジオ番組で発信している。朝鮮半島にルーツがある自身も、差別に直面してきた経験がある。今、井沢さんが考える「社会的包摂」とは。(太田理英子)
「私たちは毎日、きれいな場所に囲まれて暮らしています。それが誰かの仕事によって支えられていることに、普段どれだけ意識しているでしょうか」。19日に放送された「TOKYO CITY FM」の番組「井沢泰樹のこの世界のかたすみから」で、井沢さんは静かに語りかけた。
この日は清掃労働がテーマ。社会を支える仕事なのに軽視される理由として、成果を出すほど「目立たない」との側面を挙げた。「昔から社会には、汚れたものを扱う仕事を低く見る意識が残ってきた」と、偏見の存在も指摘。実際は経験や判断力が必要な専門的な仕事だとし、こう問いかけた。
「誰かの労働を見えなくする社会は、私たちの感覚を鈍らせてしまう。誰かが毎日支えてくれていることに気付くだけでも、社会の見え方は変わります」

ラジオ番組の原稿を読む東洋大の井沢泰樹教授=6月30日、東京都渋谷区で(坂本亜由理撮影)
井沢さんは、3月から月1回、自身のラジオ番組で発信する。生活困窮者や、身体の性の発達が典型的ではない「性分化疾患」の問題などを取り上げてきた。「狭い研究の世界だけでなく、広く社会に自分の言葉で伝えたかった。日常で接する機会がない人、気付かず通り過ぎている人の存在に気付いてほしい」。社会の「周縁の人々」を見つめてきたのは、自身の生い立ちが関わっているという。
父親が在日コリアン1世で、母親は2世。愛知県で過ごした子ども時代は、差別への恐れから通名で暮らした。ルー...
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