今年のノーベル化学賞受賞が決まった東京理科大の硤合憲三(そあい・けんそう)栄誉教授(76)が20日、東京都江戸川区で記念講演した。講演後の記者会見では「実験に失敗はない。狙った高い数値が出なくても自然現象ですから」と実験で手を動かす大切さを強調した。
学会の日本化学会が主催。硤合さんは講演で、生命が右手型と左手型のアミノ酸のうち左手型だけを使う理由を「アミノ酸がどうしてできたのかまではいかないが、(ノーベル賞の対象になった不斉=ふせい=自己触媒の)反応は起源を考える上での糸口になる」と語った。

ノーベル化学賞受賞記念講演をした東京理科大の硤合憲三栄誉教授=20日、東京都江戸川区で(川上智世撮影)
硤合さんは「20代後半でエネルギーがあったせいか、とにかくどんどん実験した」と、東大の大学院に在籍していた時代を振り返った。右手型と左手型の分子のうち一方だけを多く増やすため、温度や溶かす液体、使う分子の種類などの条件を変えて実験を繰り返していたと説明した。
講演に参加した日本大大学院理工学研究科の修士2年、瀬戸秀太さん(24)=コロイド化学=は「硤合さんの実験結果一覧表を見て、実験量が相当多くて触発された。実験結果を生命の起源に結び付けた理論立てもすごい」と話していた。(増井のぞみ)